Brand New Dayリミックス

2023年3月、初心者DTMer向けに作曲手法やプラグインのセール情報を発信されているVirtual YouTuber「クランとリオン」様のチャンネルにて、彼らのデビューシングルである「Brand New Day」のリミックスコンテストが行われました。 その際に応募させて頂いた私のリミックスについて書き連ねてみたいと思います。 もう野暮でしょ…ってばりに長くなってしまったので、お読みいただける際はご注意ください。

需要?そんな言葉はママの胎内に置いてきた。

原曲「Brand New Day」について

2023年2月17日に各配信サービスでリリースされました。 聴いてみたファーストインプレッションは、「お二人らしさがふんだんに盛り込まれているな」と感じました。 リオンさんはよく作曲生配信を行われていたり著作権フリーBGMの制作もされていますが、その際に聞けるサウンド、音の厚み、細かいFXの配置などがこの曲にも通ずるところがあるのかなと思います。 また、アレンジコンテストでの作詞でもみられるテーマにしっかりと沿ったクランさんの作詞は、確かな言葉を、そしてその裏にある熱をこれでもかと発していると感じました。 感想についてもっと上手い表現があるかもしれませんが、言葉が紡ぐのが苦手なので文章にまとまりがないのが悔しいところです。

これもまた個人的な感想に過ぎないのですが、クランさんとリオンさんにとって「最初にして最強のデビュー曲」が出来上がったんじゃないかと思います。 以降にリリースする楽曲はこれを超えていかないといけないのは、何気に大変だなあ、と勝手に愚考しています。 しかしながら、だからこそ以降の活動が楽しみにもなるわけですね。

自分のリミックス

今回のリミックスコンテストではこの楽曲をリミックスするわけですが、悩みました。 ひとまず細かいところはどうするかは置いておいて、目標の方向性的なものを以下のようにしました。

  • とにかく賑やかな楽曲にする

デビュー曲なので、その楽しさを表現すべくとにかく賑やかにしたいと思いました。賑やかとは。

  • 過去のアレンジコンテストのメロディを入れる

これまでの活動の集大成ってことで、過去のアレンジコンテストで使用されたサビのメロディをなんとか活用できないかと思いました。

  • クラリオボイスサンプルは使う

せっかくなので、お二人のボイスサンプルは何かしら入れたいと考えました。 上記賑やかさにもかかわってくるので、できるだけ多めに入れたかったです。

  • 第九モチーフのフレーズを入れる

クラシックモチーフのフレーズが入った曲を聴くと、オ?ってなりますよね。 なので入れました。

んで、なぜ第九なのかというと、デビューなんでそりゃ嬉しいじゃないですか。歓喜もするじゃないですか。 歓喜といえば、そう、ベートーベン交響曲第9番第4楽章合唱付きですよね。 歓喜の歌です。 なので入れました。

  • スペクトログラム芸する(必須)

いつぞや、アイドルマスターシンデレラガールズの楽曲をリミックスしたアルバムCDが発売されました。 その中で、久川凪さんが歌う「14平米にスーベニア」を広川恵一さんがリミックスされているのですが、この楽曲をスペクトログラム表示すると久川凪さんが現れる、というのが話題になりました。 それを思い出し、今回のリミックスにも組み込んだろ、と思ったわけです。

アプローチ

全体的な構成については、あまり変えても僕のスキルが追い付かないので大きくは変えていません。 クランさんのソロを中盤に持ってきたくらいですかね。

イントロ

スペクトログラムでクランさんとリオンさんの絵が表示されることを必須にしたわけですが、音自体はだいぶ無機質なものになってしまうので、どこに入れるかが問題です。 最も入れやすいのはおそらく一番最初か一番最後だと思います。 ただし、一番最後に入れてしまうと全曲視聴会では披露されません。 視聴者に「なんだこの変な音」という印象を与えたうえで、表彰式を終えた後にアップした動画を見て「?????」となることを狙いたかったので、視聴会でも確実に披露される最初に入れることにしました。 そして、ただ無機質な音が脈絡なく鳴っているのでは不格好なので、その前にタイプライターにキータイプ音を入れることでアナログ通信感を出しています。

今更なんですが、視聴会でなんだこれって思っても表彰式までそんなん覚えてないですよね、120曲もあるんだし。

次は第九ですが、イントロに入れると決めていたのですんなり入れられました。 その後のリオンさんの「エグイ!」も、ここならピッタリ納まるわ!ってことで入れてみたらピッタリ納まったんで自分でもベストチョイスだと思っています。

Aメロ、Bメロ、サビ

賑やかな音と言えばまあブラスやろ、ってことでブラスは終始鳴っています。 生音のブラス音源とシンセブラスの音源を重ねて、派手めを演出しているつもりです。 サビではストリングスにさらにキメのオケヒも入れて、よりサビの盛り上がりを意識しました。

僕はいつもドラムを先に入れるので、今回も例に漏れずドラムパートをイントロから最後まで打ち込み済みでした。 A,Bをある程度スケッチできた時点でこれはもうアニソン方面だなとなったので、それに合わせてドラムのリズムも調整したりしています。

クランさんソロ、リオンさんラップ

クランさんのソロパートは完全に歌を聴かせるためのパートと考え、楽器を余計に入れるのはちょっと避けました。 ドラムを少しとストリングス、ベルのみです。 ストリングスの動きはもうちょっとなんとかなったんじゃないかなあとずっと思ってます。

リオンさんのラップパートが一番難しかったです。 どうしたものかまったく見当がつかず、結局原曲の雰囲気に引っ張られることになりました。 ストリングスの余韻が残っているところに場面展開のスクラッチ音が入るのは、少し唐突で違和感を覚えてしまったのでTape Stopで和らげています。 これはこれでまぁまぁカッコよくなったかもしれません。

大サビ、アウトロ

サビの最後と転調したサビの最初が重なる演出、いいですよね。いいですよね?
間をつなぐフィル的なものが必要かと思ったんですが、試しに直接つなげてみたら「あっ、いいわ」ってなったのでそのまま採用しました。 とはいえ、さすがにオケはそのまま繋げても違和感あったので、いい感じに合うように調整しました。

アウトロについてはサビのオケをそのまま繰り返しているだけになってしまいました。 こんなアニソンあるよね、と思いつつ、せめて最後のキメくらいはなんとかできないかと試行錯誤してみましたが、結局何もいい案は出てこずそのままのほうがしっくり来てしまったので、そのままになりました。

できなかったこと、反省等

  • 疑似3拍子

当初はテンポを遅くして、1拍内の3連符をベースに疑似的な3拍子にしてみようとチャレンジしました。 が、うまくテンポを遅くすることができず、また、メロディそのままで3拍子としてとらえることが僕ではできなかったため断念しました。 まずメロディを変えるという発想がなかったのも要因だと思います。

  • クラリオ動画からのサンプリング

お二人の何かセリフを取り入れたかったのですが、そのために生配信を見返したりするのは、それだけで締め切り過ぎちゃうので大変だなあと諦めてしまいました。 オッてなったセリフはメモっとくとかしておくと、こういうときに活用できそうですね。

  • アウトロのもうひとひねり

上でも書いたのですが、サビのオケをそのまま繰り返しただけになってしまいました。 これはこれでしっくりは来るんですが、今一つ最後のキメ!という感じがしません。 終わりのパターンをもっと色々と聴くなり研究するなりしないとですね。

スペクトログラム

おまけで、今回行ったスペクトログラムに画像を仕込む方法を紹介しておきます。

以下を使います。

  • FLStudio
  • Harmor (FL付属音源)
  • Wave Candy (FL付属音源、スペクトログラム確認用)

HarmorはFLStudioの最上位版であるAll Plugins Editionに付属しています。 が、下位のバージョンか体験版でも使用することは可能です(ただし保存したプロジェクトは開けません)。 WAV書き出しは制限なく行えるので、WAVだけ書き出して他のDAWで使用することも可能です。

まずは画像を用意します。 カラーの画像だとなんかよくわからない感じになったので、おそらくモノクロの画像が良いと思います。 ここでは私のアイコンにします。
※今回は256x256ですが、リミックスでは336x178、png画像を使用しました。

  1. Harmorを立ち上げて、右のほうにあるIMGを選択します。

Harmor 1

  1. 真ん中にある三角ボタンを押すとメニューが出てくるのでOpen image file...を選択します。

Harmor 2

  1. 画像を読み込んだら、SPEEDTIMEのノブを調整していい感じに調整します。確認にはFL付属のWave CandyをSpectrumモードで使うと、別途プラグインを用意しなくていいので楽です。

Harmor 3

  1. で、C3を鳴らすと……。

やったぜ!😊
若干見づらいですけど調整すればもっと鮮明になると思います、多分。

ちなみに余談ですが、動画にはffmpegのshowspectrumコマンドを使用しています。

終わりに

なんか長くなってしまいました。

自分のリミックス、自分では割と好きな雰囲気になりました。 が、それはそれとして満足しているわけではなく、もうちょっとどうにかできたはず…と思うばかりです。 ミックスやマスタリングも明確な意味を持って行ったわけではなく、だいぶ雰囲気でやってました。 コンプとか挿したところで細かい違いわからないし挿さなくってもヘンには聴こえないし……。 いや、挿したりはしていますけれども。 iZotope Ozone先生には頭が上がりません。

ともあれ、この経験は大きな糧になったと思います。 リミックスコンテストVol.2は現状まだ未定ですが、今後のコンテストや自作曲に反省や他の方の曲から得たものを生かせればと思います。

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